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2011/01/22 編集
_ [Mail][ソフト] Windows 7 で使える無料メールソフトを比較する
Windows XP には OS の一部として Outlook Express が付属していたが、Windows 7 ではそれがなくなり、ユーザは何かしらのメールソフトを自ら選びインストールしなければならなくなった。
では、Windows 7 + Office 2010 が既に入っている PC において、無料で利用できかつ Outlook Express に比較的近い感覚で利用できるメールソフトとして候補に挙がるものといえば、
の3つだろう。
これら3つのソフトをここ3ヶ月ほど並行して試用したので、いくつかの観点で比較した結果をまとめる。
前提条件
- ここ3ヶ月間に着信した約4万通のメールを蓄積した状態。うち約600通 (1.5%) が spam。
- 受信トレイ、迷惑メールフォルダの他に7個のフォルダを作成済み。
- 受信トレイは約4600通、一番量の多いフォルダで約1.5万通。
- 全ての spam を迷惑メールとして学習済み。同様に迷惑メールとして誤認されたものも補正済み。
- いずれも本日時点の最新版を利用した。(Windows Live メール 2011 15.4.3508.1109、Outlook 2010 14.0.5128.5000、Thunderbird 3.1.7)
迷惑メール判定精度
上記前提条件の状態で、約13日分7800通のメール (うち87通が spam) を新規に受信した時の迷惑メール判別精度… false positive (本当は spam じゃないのに spam と判定された) と false negative (本当は spam なのに spam じゃないと判定された) がどの程度の割合だったかを見る。
Outlook は迷惑メールの処理レベルを複数段階選べるが、デフォルトの低とした。
なお、メールサーバ側である程度のフィルタが効いており、個々のユーザのメールボックスに届く迷惑メールの数自体があまり多くない。
ソフト | false positive | false negative |
---|---|---|
Windows Live メール | 0 / 0 | 87 / 7855 |
Outlook | 27 / 105 | 3 / 7750 |
Thunderbird | 1 / 13 | 15 / 7842 |
Thunderbird が最も優秀。Outlook は false negative が少ないものの false positive が多すぎてバランスが悪い。Windows Live メールは全て false negative で迷惑メール対策がまるで機能していない。
処理時間
メール約5000通を一括で既読にするのにかかる時間と、メール約5000通を別のフォルダに移動するのにかかる時間を測定した。
いずれも複数回実施し、キャッシュが効かない初回の数値は捨てた。
ソフト | 5000通既読化 | 5000通移動 |
---|---|---|
Windows Live メール | 1~2 秒 | 25~35 秒 |
Outlook | 3~8 秒 | 4~8 秒 |
Thunderbird | 2~3 秒 | 6~7 秒 |
Thunderbird と Outlook が互角程度だが、Outlook は振れ幅が大きい。Windows Live メールは既読化は速いがフォルダ移動は著しく遅い。
ディスク使用量
各ソフトのメールその他の実データが保存されているフォルダの容量を見る。
ソフト | 総容量 | ファイル数 | パス |
---|---|---|---|
Windows Live メール | 1,243 MB | 47,651 | %USERPROFILE%\AppData\Local\Microsoft\Windows Live Mail |
Outlook | 1,809 MB | 1 | %USERPROFILE%\Documents\Outlook ファイル |
Thunderbird | 1,207 MB | 78 | %USERPROFILE%\AppData\Roaming\Thunderbird\Profiles |
ディスク使用効率は Thunderbird が最も優秀、Outlook に無駄が多い。
なお、Windows Live メールのファイル数が異常に多いのは1メール1ファイルで保存されているためである。
メモリ使用量
起動直後と、9つのフォルダを一度開いてから受信トレイをフォーカスした状態でのメモリ使用量 (プライベートワーキングセット) を見る。
ソフト | 起動直後 | フォルダ一巡後 |
---|---|---|
Windows Live メール | 67 MB | 83 MB |
Outlook | 35 MB | 39 MB |
Thunderbird | 43 MB | 82 MB |
Outlook が最も省メモリ。Windows Live メールはメモリの無駄遣いが多い。
その他機能
ソフト | 高速全文検索 | 簡易絞り込みフィルタ | 自動更新 |
---|---|---|---|
Windows Live メール | × | ○ | × |
Outlook | ○ | × | ○ |
Thunderbird | ○ | ○ | ○ |
ただし Thunderbird の自動更新は自身が権限を持つ範囲のみ。Administrators によってインストールされた Thunderbird を Users が更新することはできない。(Users でも %USERPROFILE% 配下にインストールした場合は自身で可能)
その他
- Windows Live メールは Outlook Express & Windows メールの後継製品だが、インターフェースがだいぶ様変わりし、同じ使い勝手というわけではなくなっている。
- Windows Live メールは1メール1ファイルとなっているので、Outlook Express のように「1フォルダの総容量が大きくなると dbx ファイルが破損してメールが一気に消滅する致命的な病気」は起きないだろうと思われる。
- Windows Live メールは、複数のメールをまとめて移動したり削除したりしようとすると「不明なエラーが発生しました」となり失敗する症状がしばしば発生した。
- Windows Live メールは、しばらく使っていると暴走し出してメモリを 2GB ほど、CPU を1コア占有する状態に陥ることがしばしば発生した。
- (自分は遭遇しなかったが) Windows Live メール 2011 は、メールを何件か確認しているうちに、各トレイの表示部分やプレビューウインドウのヘッダー情報部分が真っ黒になって何も見えなくなる不具合が発生するという報告があった。
- メールの振り分けルールは、Outlook と Thunderbird が上から順に評価されるのに対して、Windows Live メールは下から順に評価されるので、ルール作成時に注意が必要。
- Thunderbird はグローバル検索とクイックフィルタ両方を備えており、1クリックで未読メールのみに絞り込めるなど、目的のメールを探し出しやすい。
まとめ
- ユーザが自分自身でインストールして利用する場合は Thunderbird が総合的に優れている。
- 管理者がインストールしたソフトを一般ユーザに使わせるという状況下では Windows の自動更新機能を利用できグループポリシー等も使える Outlook がセキュリティ上意味をなす。
- Outlook の迷惑メール対策機能の false positive の多さが目立つ。
- Windows Live メールは機能・性能・安定性全て最悪となっており、利用するメリットがまるで存在しない。
Before...
_ sasapi [大変参考になりました。数字で検証されていて納得できる評価でした。 Thunderbirdを最近使い始めて設定を変えた..]
_ 能重百香 [初めまして能重百香です!]
_ 通りすがり [でもねえ。Thunderbird むっちゃ起動が遅いのが不満。ネットでとれる情報でいろいろ試したが、結局解決できなか..]