スペースモラトリアムノカミサマ

日記+コメント付きブックマーク+他人にも役に立つかもしれない情報など。
(更新情報: RSS(ツッコミ付き) / RSS(ツッコミ抜き) / LIRS)

最近の TrackBack:
2004|01|02|03|04|05|06|07|08|09|10|11|12|
2005|01|02|03|04|05|06|07|08|09|10|11|12|
2006|01|02|03|04|05|06|07|08|09|10|11|12|
2007|01|02|03|04|05|06|07|08|09|10|11|12|
2008|01|02|03|04|05|06|07|08|09|10|11|12|
2009|01|02|03|04|05|06|07|08|09|10|11|12|
2010|01|02|03|04|06|07|08|09|10|
2011|01|02|03|07|10|11|
2012|02|03|04|07|08|09|
2013|01|06|07|
2014|02|08|09|11|
2015|09|
2016|01|05|
2017|07|
2018|05|07|
2019|07|
2020|08|09|10|12|
2021|05|
2022|03|

2014/02/05 編集

_ [PC][ハードウェア] Core i5/i7を搭載したPCを調達する際はグリーン購入法適合を条件から外さなければならない

第4世代の Core i5/i7 プロセッサを搭載した PC で且つグリーン購入法適合を満たすものは存在しないことが判ったので、以下にまとめる。

まず、環境省が定める環境物品等の調達の推進に関する基本方針では、

次のいずれかに該当するものは、本項の判断の基準の対象とする「電子計算機」に含まれないものとする。

複合理論性能が1秒につき20万メガ演算以上のもの

[環境物品等の調達の推進に関する基本方針 (環境省)tより引用]

とある。(これは「そんな高性能なものは一般人が使う PC 等とは到底呼べない」という判断なのか?)

また、富士通によると、グリーン購入法に関して

CPUが「インテル Core i7/i5プロセッサー」の場合、複合理論性能が一秒につき20万メガ演算以上のため対象外となります

[ESPRIMO 環境への配慮 (富士通)より引用]

との記述がある。これは、環境省の基本方針に基づいたものと思われる。(適当に富士通を例として取り上げたが、他のメーカーサイトにも同様の記述がある)

さて、マイクロプロセッサー製品の輸出規制基準 (インテル) によると、第3世代の Core i5 は、14.0~15.2万 CTP だったようだ。

第4世代に関するインテルの公式資料が見つからないが、これがおそらく第4世代で20万 CTP を超えたのだろう。

このため、「環境物品等の調達の推進に関する基本方針」が「電子計算機」と見做す基準に合致しなくなってしまった。

つまり、「第4世代 Core i5/i7 を搭載した PC は、環境省の基準では電子計算機ではない」ので、グリーン購入法の適用対象外となる。

なお、Core i5/i7 は「そもそも特定調達物品ではない」だけで「不適合」というわけではないので、Core i5 以上を載せた PC を調達することによってグリーン購入法違反になるわけではない

しかし、PC 調達仕様において「Core i5 以上搭載」「グリーン購入法適合」という条件を並べると、該当製品不存在となり誰も見積を出してくれないので、組織で PC 調達に関わる担当者は注意する必要がある。

…正直バッドノウハウ過ぎる。同じ型の PC でも搭載する CPU を変えただけでグリーン購入法の対象か否かが変わるなど、調達担当者にとって罠としか言いようがない

今は Core i5 だけだが、このままでは1~2年後には Core i3 や Pentium 等も20万 CTP を超えかねないのではないか。

この数値はどういうタイミングで見直されているのかと、過去の基本方針を見てみると、以下の通りだった。

策定時期基準CTP具体的な製品例
平成19年2月5万Core 2 Duo E6700 まで対象、Core 2 Quad Q6600 から対象外
平成20年2月5万Core 2 Duo E6850 まで対象、Core 2 Quad Q6600 から対象外
平成21年2月5万Core 2 Duo E8500 まで対象、Core 2 Duo E8600 から対象外
平成22年2月5万Core i3-540 まで対象、Core i5-750 から対象外
平成23年2月20万Core i7-980 まで全て対象
平成24年2月20万Core i7-2700K まで全て対象
平成25年2月20万Core i7-3820 まで対象、i7-3930 は対象外
平成26年2月20万Core i3-4340 まで対象、i5-44?? から対象外

4年に1度しか見直されていない。ムーアの法則を何だと思っているのか。

それでも、昨年度まではハイエンドだけが対象外で、ミドルレンジは対象だったところ、今年度は第4世代 Core プロセッサの CTP が上がりすぎてミドルレンジまでが対象外になってしまった。

だいたい、ハイエンドの PC だけグリーン購入法対象外とする意味がわからない。全部対象にすれば良いではないか。ハイエンドが対象に含まれると何か問題があるのだろうか。

はっきり言っていい迷惑である。環境省には「基準値のメンテもろくにできないならそんなものやめちまえ」と言いたい。

…以上、愚痴でした。

(追記)

ブコメを見ていると勘違いしている人がちらほら見られるけど、「高性能だから買ってはいけない」のではなく、「高性能すぎる(一般人が買う民生品ではない?)から法規制の対象外とする」(つまり買って良い) ということなので、誤解されなきよう。

仮に対象とした場合も Core i5/i7 はグリーン購入法には適合するはずで、意味もなく対象外となっているのが話をややこしくしているのである。

「グリーン購入法適合」ではなく、「グリーン購入法不適合ではないこと」という調達条件にすれば、適合品と対象外品が該当するので調達に失敗することはない…かもしれない。(しかしややこしい)

関連 → デスクトップPC=スパコン(調達手続き的に) - Togetterまとめ